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積水化学元社員、中国企業への機密情報漏洩で有罪(大阪地裁) 

積水化学元社員、
中国企業への機密情報漏洩で有罪
(大阪地裁)



以下、2021.8.18日本経済新聞夕刊記事による。
記事本文:「スマートフォンに使われる技術の機密情報を中国企業側に漏らしたとして、不正競争防止法違反罪に問われた積水化学工業の元社員、久保田敬士被告(46)の判決公判が18日、大阪地裁で開かれた。栗原保裁判官は懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円(求刑は懲役2年、罰金100万円)の有罪判決を言い渡した。
(中略)
 起訴状によると、久保田被告は積水化学に在籍中の2018年8月~19年1月、勤務中に積水化学のサーバーにアクセスして、スマートフォンの液晶画面に使われる「導電性微粒子」という素材に関する情報を入手。中国の通信機器部品メーカーの担当者にメールで送ったとされる。導電性微粒子は積水化学工業が世界でも有数のシェアを持っている。検察側の冒頭陳述によると、中国企業側はビジネス向けSNS「リンクトイン」で同被告に接触。同被告は積水化学に在籍したまま非常勤顧問に就任する話を持ちかけ、情報を漏らしたとされる。」(2021.8.18日本経済新聞夕刊記事から)


[編注・コメント]

1 本裁判で裁判所は、被告が起訴内容を認めたことや、実際には積水側に具体的な損害がなかったことなどを踏まえ、執行猶予が相当と判断したとしている。

2 一方で、本事件後、積水化学工業を2019年5月に懲戒解雇された被告は、直後の同年夏から、同じ中国勢である通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)日本法人に再就職していた。(日経ビジネス2020.10.28)という情報もあり、率直に言って、反省の態度を汲み取るのは苦しい。(もっとも、ファーウェイで直接、前職での得た情報を利用して開発に携わっていたかどうかは不明。)

3 なお、2015年不正競争防止法は、機密漏洩先が海外企業の場合、特に、罰則を重くした。(個人に懲役10年以下又は、罰金3000万円以下(併科も可能)」




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経営者保証に関するガイドライン(2013.12)特則(2019.12)民法改正(2020.4.1) 

経営者保証に関するガイドライン(2013.12)
事業承継・特則(2019.12)
民法改正(2020.4.1)



◯経営者保証に関するガイドライン(2013.12)

 日本商工会議所と全国銀行協会が設置した経営者保証ガイドライン研究会が取りまとめ、2013(平成25)年12月に公表。

 経営者の個人保証について、
(1) 法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
(2) 多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて約100~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
(3) 保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
などを定めた。
https://www.jcci.or.jp/chusho/kinyu/131205guideline.pdf




◯ガイドライン・(事業承継時)特則

 2019年12月24日、事業承継(事業承継の際に、承継候補者が個人保証を負うことを嫌い事業承継の障害になっているという問題)に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則を公表。
 特則のポイント
(1) 前経営者、後継者の双方からの二重徴求の原則禁止
(2) 後継者との保証契約は、事業承継の阻害要因となり得ることを考慮し、柔軟に判断
(3) 前経営者との保証契約の適切な見直し
(4) 金融機関における内部規定等の整備や職員への周知徹底による債務者への具体的な説明の必要性
(5) 事業承継を控える事業者におけるガイドライン要件の充足に向けた主体的な取組みの必要性
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/191225jigyoshokei.html




2020年に施行される改正民法

2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わる。
改正民法で新たに導入される保証人保護。
(1) 保証契約締結に先だって、その締結の前1ヶ月以内に作成された公正証書(保証意思宣明公正証書)で、保証人になろうとする当該個人が保証債務を履行する意思を表示しなければ、保証契約は無効。
(2) 情報提供義務の新設
 ① 保証人になることを他人に依頼する場合には,主債務者は,保証人になるかどうかの判断に資する情報として,①主債務者の財産や収支の状況、②主債務以外の債務の金額や履行状況等に関する情報を提供しなければならない。
② 主債務者の委託を受けて保証人になった場合には,保証人は,債権者に対して,主債務についての支払の状況に関する情報の提供を求めることができる。
③ 保証人が個人である場合には,債権者は,主債務者が期限の利益を喪失したことを債権者が知った時から2か月以内にその旨を保証人に通知しなければならない。

2005年改正ルール(継続して適用される事項。)
(1) 極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効 
(2) 個人が保証人になる根保証契約については,保証人が破産したときや,主債務者又は保証人が亡くなったときなどは,その後に発生する主債務は保証の対象外とする。

関係パンフレット(法務省)
http://www.moj.go.jp/content/001254262.pdf


[編注・コメント]
 個人保証に関するガイドラインが、2013012,日本商工会議所と全国銀行協会が設置した経営者保証ガイドライン研究会から取りまとめ、公表されている。その後、2019年12月には事業承継時にかかる特則が追加。
また、2020年4月からは個人保証に関係する改正民法規定が適用になる。



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企業における営業秘密管理に関する実態調査結果(2016) 

「企業における営業秘密管理に関する実態調査報告書」

 独立行政法人情報処理推進機構が2017.3.17、「企業における営業秘密管理に関する実態調査」報告書を公表。同報告書では、企業における営業秘密の漏えいや管理に係る対策状況について調査分析を行っている。
 https://www.ipa.go.jp/security/fy28/reports/ts_kanri/index.html

 同調査は
 期間 : 2016年10月~2017年1月
 アンケート調査 無作為に抽出した12,000社に対しアンケート調査票を郵送、2,175社から有効回答。



 調査結果のポイント

 営業秘密の漏えい実態

 過去5年間における営業秘密の漏えい状況について、73.3%の企業が「情報の漏えい事例はない」と回答。
 8.6%の企業が過去5年間に営業秘密の漏えいを経験している。


 営業秘密の漏えい発生ルート(漏えいあり企業)

1 現職従業員等のミスによる漏えい  43.8%
2 中途退職者(正規社員)による漏えい  24.8%
3 取引先や共同研究先を経由した漏えい  11.4%
4 現職従業員等による具体的な動機をもった漏えい  7.6%
5 外部からの社内ネットワークへの侵入に起因する漏えい  4.8%
6 中途退職者(役員)による漏えい  3.8%
7 取引先からの要請を受けての漏えい  3.8%
8 外部者の不正な立ち入りに起因する漏えい  2.9%
9 退職した契約社員による漏えい  2.9%
10 退職した派遣社員による漏えい  1.9%
11 定年退職者による漏えい  1.0%
12 わからない  4.8%
13 その他  9.5%

〔編注、コメント〕

 中小企業における対策には遅れが認められる分野だが、最新実態調査結果に基づき、漏えい実態とりわけ「営業秘密の漏えい発生ルート」の確認などしておきたい。



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改正個人情報保護法関連情報へのリンク(追加) 

リンク

改正個人情報保護法の全面施行日は平成29年5月30日です。
下記の改正法等の情報にリンクを貼りましたので、参照してください。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=7&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiLr5SCv7rSAhUDgrwKHatUAcEQjBAIMDAG&url=http%3A%2F%2Fwww.ppc.go.jp%2Fpersonal%2Fpreparation&usg=AFQjCNFsNoP0LcAxaWimDuJIPcYI16oKZg&sig2=qCkUV1FragBoF_FP-WestQ

【関連情報】
個人情報保護法
改正法の概要
新旧対照表
個人情報の保護に関する基本方針(平成29年5月30日時点)
個人情報の保護に関する法律施行令(平成29年5月30日時点)
個人情報の保護に関する法律施行規則
個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
匿名加工情報 「パーソナルデータの利活用促進と消費者の信頼性確保の両立に向けて」
個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A
  http://www.ppc.go.jp/files/pdf/kojouhouQA.pdf



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改正個人情報保護法~平成29年5月30日全面施行へ 

10年ぶりの大改正
改正個人情報保護法平成29年5月30日全面施行へ


雇用にも関連してくる事項(抜粋紹介)

1 個人情報の定義変更
(1)「個人識別符号」等新しく定義された個人情報がある
「個人識別符号」。  例えば、
 顔画像データ
 認証用指紋データ
 個人番号(マイナンバー)
 運転免許証番号
 パスポート番号
 基礎年金番号
 保険証番号
など
が個人識別符号として個人情報に加えられることとなる。(改正法第2条1項・2項)

2 要配慮個人情報(改正法第2条3項)

要配慮個人情報には、
 「人種」「信条」「社会的身分」「病歴」「犯罪の経歴」「犯罪により害を被った事実」などが該当する。
 個人情報のうち本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないよう、その取扱いに配慮を要するものを新たに「要配慮個人情報」と定めたもの。
 これらの情報を取得する際には、原則として本人の同意が義務化されるとともに、本人同意を得ない第三者提供の特例であるオプトアウトについても禁止とされた。
(1)原則として、本人の事前同意がない取得は禁止(改正法第17条2項)
(2)オプトアウトによる第三者提供は認められない(改正法第23条2項)

3 個人情報の第三者提供に当たって「記録・保存」義務

改正個人情報保護法

 改正法は、個人データの第三者提供に当たり、提供側・受領側それぞれに対し授受に関する情報の記録・保存が求めている。また、要配慮個人情報については、取得時の本人同意が必要としている。

 (第三者提供と記録)
 提供する側
 提供年月日、提供先等に関する記録の作成、および当該記録の一定期間の保存(改正法第25条)
 提供を受ける側
 提供者の情報、および提供者が当該個人データを取得した経緯の確認、提供年月日、提供者情報およびその取得経緯に関する記録の作成、および当該記録の一定期間の保存(改正法第26条)

4 小規模取扱事業者を含む全ての事業者が対象に(改正法第2条5項)

 現行法は、取扱個人情報が5,000件以下の事業者(小規模取扱事業者)は規制の対象外であったが、改正法は全ての企業が個人情報取扱事業者として改正法の適用を受けることになった。


参考資料

改正個人情報保護法「新旧対照表」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/pdf/taihihyo.pdf
政令「新旧対照表」
http://www.ppc.go.jp/files/pdf/sinkyuuhyou.pdf
施行規則
http://www.ppc.go.jp/files/pdf/290530_personal_commissionrules.pdf
以下は「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
http://www.ppc.go.jp/files/pdf/guidelines01.pdf
パンフレット
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/downloadfiles/01kaiseikojinjohopamphlet.pdf



[編注、コメント]
改正個人情報保護法がいよいよ5月30日から全面施行される。
雇用に関係する改正事項として、少なくとも紹介した4項目を中心に全面施行される5月30日に向け対応が必要と思われます。なお、上記は、抜粋紹介となるので、詳細は、参考資料等を参照してください。



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