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派遣を受け資格外活動を行わせた派遣先「中村屋」を書類送検 

警視庁が不法就労助長の疑いで
「技人国」資格で和菓子の製造業務に就労させる


ニュース源:2022.2.3日本経済新聞朝刊記事

同記事によると、
「人材会社から派遣された外国人に在留資格の範囲を超える業務をさせたとして、警視庁がカレーや和洋菓子の老舗として知られる中村屋を入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検した。・・警視庁が法人としての中村屋と採用担当社員を書類送検したのは2021年12月・・「捜査関係者によると、人材会社から派遣されたネパール国籍の6人について、与えられた在留資格がエンジニアや通訳などを対象にする「技術・人文知識・国際業務」であると知りながら、18年11月~21年6月、工場で資格外活動に当たる和菓子の製造などをさせた疑いが持たれている。」というもの。


【編注、コメント】

 ポイントは、資格外の仕事をさせていたとして、派遣先に摘発が及んだこと。
 背景には国の不法就労対策の原点回帰、原則に沿った対策・運用の強化があるというから、各企業は、当局の摘発姿勢の変化を理解して外国人労働者の管理に臨むことが必要になりそうだ。



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日経新聞記事「雇用カルテル,米が摘発 賃金調整や人材引き抜き制限」 

「雇用カルテル,米が摘発 賃金調整や人材引き抜き制限」

2021年8月9日 日本経済新聞朝刊記事から


記事タイトル:雇用カルテル 米が摘発。賃金調整や人材引き抜き制限
記事本文:「米国の競争規制の強化が雇用分野にも及んできた。米司法省(DOJ)は賃金と人材引き抜きに関するカルテルを相次いで摘発。2016年に示していた「雇用カルテル」の指針が、初めて実際の取り締まりに反映した。雇用分野での企業間の擦り合わせ行為に、より厳しい目が注がれる可能性が高まっている。

DOJは20年12月、理学療法士などの賃金を低く抑えるよう他社と共謀したとして、米ヘルスケア企業の元オーナーを刑事訴追した。21年1月には、外来診療施設を運営する米サージカル・ケア・アフィリエーツとその関連企業を、互いに従業員の引き抜きをしないよう他社と擦り合わせた疑いで刑事訴追。(以下中略)・・
・・カルテルは一般的に、商品の価格や数量などを企業間で擦り合わせる行為が問題視されるケースが多い。今回の両事案は雇用に関する行為が対象になったのが特徴だ。

伏線はあった。DOJと米連邦取引委員会(FTC)は16年、企業間の賃金調整や引き抜き防止協定など、あからさまな悪質行為は反トラスト法(独占禁止法)違反として刑事訴追の対象になるとの指針を発表した。米IT大手がエンジニアの引き抜きを禁止する取り決めを結んだ疑惑で紛争が生じたことなどを受けたものだった。(中略)・・

バイデン米大統領も取り組み姿勢を鮮明にしている。7月の大統領令では、幅広い産業で独占を厳しく取り締まる姿勢を強調した中で、労働者の地位改善もテーマのひとつとした。雇用主が共謀して賃金が不当に抑えられることなどがないよう、DOJなどに反トラスト法のガイダンスの見直しを促した。競合他社への転職を制限する協定に関しても、見直しに向けてFTCに法整備を指示した。
松田章良弁護士は「摘発ペースは加速する可能性があり、進出する日系企業も無関係ではない」と指摘。「人事部による人材採用や給与決定の独立性を確保し、意思決定の過程を記録しておくことなどが重要だ」と話す。」


[編注・コメント]

 アメリカの動向として、「雇用カルテル」摘発の記事が目を引いた。雇用分野での企業間のすり合わせは日本の雇用慣習からも問題視すれば根が深い。アメリカでの動きも、今後、どのように展開するのか読み切れないところがあるが、企業の人事労務部門の担当責任者は、本記事を含め、雇用カルテル摘発をめぐる米政府の動向は注目しておきたい。



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東芝調査報告書ー調査手法にも注目が 

東芝調査報告書ー調査手法にも注目が
2021.6.10

 東芝は2021.6.10、会社法316条2項に基づく調査報告書を公表した。昨年7月31日開催の定時株主総会が公正に運営されたか否かを主な調査対象とするものだが、その調査結果には、衝撃が走った。

 約120ページに上る調査報告書の中で、東芝がいわゆる物言う株主対策として、経済産業省に支援を要請。経産省は外為法の発動権限をバックに、東芝と一体となって対応し、株主に不当な影響を与え、「定時株主総会が公正に運営されたものとはいえない」とした点が報告書のポイントの一つですが、もう一つ、この調査報告書が、ここまで深く当時の対応状況に迫ることができ、問題点をえぐりだすことが出来たか、という調査手法にも関心が持たれた。


 調査手法に関して、2021.6.13日本経済新聞朝刊の記事に、次のような興味深い解説がなされていた。

 「「デジタル・フォレンジック」調査を実施。調査時に社長兼最高経営責任者(CEO)ら7人について、メールサーバーからデジタルデータの分析を行ったとした。計52万件以上の電子メールと、25万件以上の添付ファイルを専用ソフト(※)で解析。人工知能(AI)が調査対象テーマに関わりが深いとみられるものを分類し、15人の弁護士らが手分けして読み込むなどの手法で、細かい事実関係を調べ上げた。

(※)フォレンジックの専用ソフトは、メールや文書内に含まれるキーワードから関連文書をスクリーニングするだけでなく、前後の文脈なども判断できる。

 今回、調査にあたった弁護士らの調査権限の強さも際立った。過去の企業不祥事などでは、取締役会や一部株主が依頼した「第三者委員会」が調査することが多かった。これに対し今回の報告書をまとめた前田陽司弁護士らは、会社法316条に基づく「総会提出資料調査者」として株主総会で選ばれた。取締役が調査者による調査を妨げた場合は100万円以下の過料の対象とすると定める。(以下略)」(2021.6.13日本経済新聞朝刊の記事から)


参考:東芝調査報告書
2021.6.10
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20210610_1.pdf


[編注・コメント]

 AIによるメール分析の威力には驚いた。調査内容もさることながら、調査手法にも正直、びっくりし学ぶことが多かった。



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対策、解決を要する問題=独り身高齢者に「身元保証人」、やむ無く代行業者に頼る現状 

2021,3,16付け日本経済新聞朝刊記事から

身元保証代行、不透明契約相次ぐ
ー 死亡後は代行者に全財産を譲る
ー 認知症の人相手に5分の面談で契約させる


 保証人の署名を受け入れ条件とする介護施設などが多い!
 このような場合、身寄りがなければ「身元保証代行」を頼らざるをえない。
 不透明契約が相次ぐ状況には対策が必要。

(身元保証人が求めれれる実態)=以下、2021.3.16日経新聞朝刊記事がその実態を報じている。
 『身寄りのない高齢者が介護施設への入所や医療機関への入院を希望する場合、身元保証人の確保が壁になる。厚生労働省の17年の調査によると、入所・入院時に身元保証人の署名などを求めるのは介護施設の95%、病院の65%を占めた。介護施設の場合、うち3割が署名がない人の入所を拒否すると回答した。
 正当な理由のない入所や入院の拒否は厚労省令や医師法が禁じており、同省は18年、改めて注意喚起の通達を出した。しかし、受け入れ側が緊急時や死後の対応に不安を覚える状況は変わらず、死後、費用清算や入所者らの引き受けまで請け負う民間の身元保証代行の活用が広がる。」



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英最高裁、ウーバー運転手は「従業員」。最賃や有給休暇などの権利認める 

英最高裁、ウーバー運転手は「従業員」

 BBCニュースによると、「英最高裁は2021年2月19日、米配車サービス大手ウーバーの運転手について、個人事業主ではなく従業員として扱われるべきとの判断を示した」。
 ウーバー側はこれまで運転手は従業員ではなく個人事業主だと主張してきた。

最高裁の判断

 最高裁の判断は、判事全員の一致。
 運転手は乗客を乗せている間だけでなく、アプリにログインしている間は勤務中とみなされるべきだと結論付けた。

 最高裁が考慮した要素の一部は次の通り。

 ・ウーバーが運賃を決め、運転手が稼げる金額を設定している
 ・ウーバーが契約条件を設定し、運転手側に発言権がない
 ・乗車リクエストはウーバーに制約されている。ウーバーは運転手があまりにも多く乗車拒否した場合にペナルティを課すことができる
 ・ウーバーは5つ星評価を通して運転手のサービスを監視し、警告を繰り返しても改善されない場合は契約を終了する権限を持っている

 最高裁は運転手はウーバー社に従属する立場にあり、収入を増やすには長時間労働しかないと判断。



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