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民法改正(2020年4月1日施行)と債券・損害賠償請求権の消滅時効 

民法改正(2020年4月1日施行)と債券・損害賠償請求権の消滅時効

1 債券の消滅時効

(1) 「権利の行使をすることができる時から10年間行使しないとき」(以下、「客観的起算点から」という。)
(2) 「債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき」(以下、「主観的起算点から」という。)

(※)[特別法]
 賃金(24条)休業手当(26条)割増賃金(37条)解雇予告手当(20条)年次有給休暇(39条)及び、労災請求権、退職金請求権等の請求権は、民法の特別法として労働基準法第115条等において規定されているため、改正されない限りで消滅時効は現行の2年、(退職金は5年)が維持される。関連して、労基法関係書類の保存期間もどのように取り扱うかという問題もある。


2 損害賠償請求権の消滅時効

 現行では損害賠償請求権は、不法行為に基づく損害賠償請求権(3年)と契約上の債務不履行に基づく損害賠償請求権(10年)がある。改正民法ではこれが次のように整理された。

(1) 債務不履行に基づく損害賠償請求権

 現行(客観的起算点から10年)

→改正(客観的起算点から10年) ただし、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効は20年
改正(新設)主観的起算点(債券を行使できると知ったとき)から5年

(2) 不法行為に基づく損害賠償請求権

 現行(主観的起算点から3年)

→改正(主観的起算点から3年) ただし、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効は5年
 現行(除斥期間20年)
→改正(除斥期間は消滅時効に変え、その期間は客観的起算点から20年。)


3 時効の中断・停止は廃止され、「時効の完成猶予・更新」に整理された。関連して、「当事者間に権利について協議を行う旨の書面合意がされた場合は、合意から1年が経過するまで等の間、時効の完成が猶予される制度」が新設された。


[編注、コメント]

 労働基準法等の請求権の消滅時効も、改正民法の2020年4月1日施行にあわせて取り扱いの結論を得るように検討が行われている。(厚労省所管)



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