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元勤務先企業を避け元上司・元同僚を攻めるレファレンスチェック 

2020.8.8日本経済新聞朝刊につぎのような記事が掲載されていました。

◎記事見出し: 「中途採用で「前職調査」企業向けサービス広がる 法抵触避け個人から情報」
◎記事本文: 
中途採用時に、応募者の性格や前職での振る舞いを調べるレファレンスチェックが、新進企業中心に広がっている。調査会社が接触する相手は応募者の元上司や元同僚。だが手法が不適切だと、調査協力者や応募者に負担を強いる恐れがある。転職市場が広がるなか、再チャレンジを妨げる可能性もある
「昨秋開始のレファレンスサービスは絶好調。実施数は約5000件になる」。バックチェックの名で前職調査を提供するROXX(東京・港)の中嶋汰朗社長は話す。(中略)
 調査はネットで完結する。利用企業は応募者に「同意」を取り、同社は応募者が名前を挙げた前職の上司・同僚・部下にメールで質問を送る。回答はアルゴリズムで解析し(1)応募者の思考の特徴(2)採用後考えられるリスク(3)次の面接で聞く質問ーを利用企業に戻す。「ストレス耐性やチームワークに問題がある」「論理的で効率優先、設定した目的に向け一直線」。同社が企業向けに作った調査サンプルにはこんな文言が並ぶ。(中略)

提供者にリスク
(中略)
 職業安定法は指針などで求職者の個人情報について、出生地や家族の職業、人生観や労働組合への参加など収集を原則禁じる項目を例示。2005年全面施行の個人情報保護法23条は、前職場が持つ人事考課や勤怠記録などのデータを本人の同意なしで開示することを禁じ、野放図な調査を制限した。
(中略)
・・「調査会社が情報を前職関係の個人に求めるのは、個人情報保護法への抵触を恐れる元勤務先から情報収集ができないためだろう」と指摘する。だが、応募者が指名した元上司や同僚は、知らないうちにリスクを負いかねない。退職者の情報は基本的に職場で知ったもの。就業規則で社内情報の漏洩を幅広く禁じている企業もある。
 民法上の不法行為責任も無視できない。元同僚の病歴など重大な個人情報を伝えた場合だ
。(中略)

同意拒否できず
調査は応募者にとっても負担が大きい。
「嫌だったが、同意せざるを得なかった」。調査を受けた40代男性は振り返る。企業の採用責任者は「レファレンス自体を拒否されたら選考を中止する」と認める。応募者は同意するしかないのが実情だ。この問題に詳しい田村優介弁護士は「求職者には事情があるもの。日本のレファレンスチェックは彼らの不利益が大きい」と指摘する。」
(以下、省略)。」(以上は、2020.8.8日本経済新聞朝刊から編者の責任で抜粋紹介させて戴いたものです。)


[編注、コメント]

 現在、採用活動の過程で前職調査、リファレンスチェックを行っている応募先企業は少数だろう。記事の中で職業安定法の指針などにおける求職者の個人情報の取り扱われ方についても適切に要約紹介されているように、応募者の以前の勤務先企業から応募者の個人情報を取得することは、事実上困難になっているはずである。
 そこで登場しているのが、以前の企業ではなく、応募者をよく知る上司や同僚から情報収集を行い、意見をもらうというものです。しかし、記事にも触れられているように、ここには(法的には)、より深刻な個人情報漏洩問題が潜在しています。
 本人が同意しているなら「可」だろうと安易に調査会社の求めに応じることは、かなりリスクを伴う行為でもあります。しかし現状、この種のリスクの存在が元上司や元同僚の間に認識されているとは思えないところに、問題がありそうだ。

参考
現状の法的指針等をまとめたもの
(厚労省指針)
 企業が応募者の個人情報を集める場合は、「本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する」と定めている。また、一定範囲の個人情報(出生地、思想信仰、労組への加入有無等)は、収集自体が禁止されている。
 厚労省は、転職活動における採用選考は応募者の適性・能力のみを基準として行う必要があるとする。しかし、就職活動においては、①応募先企業から前職調査に関する同意書へのサインを求められることもないとは言えないが、この場合でも、以前の勤務先が第三者(応募先企業)に退職理由、勤務態度などを本人の同意なく開示することは、個人情報保護法に違反する。



労務安全情報センター
http://labor.tank.jp
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